2002年より聖地「相模湖みの石滝キャンプ場」をお借りして、毎年秋に開催して参りました「勝手にウッドストック」ですが本年を最後に幕を閉じようと思います。まずはここまで僕らの思いつきに賛同いただけた多くの「勝手な」皆様に感謝したいと思っています。
数えて17回目になりますが、このようなただの一塊のバンドマンが始めたイベントが、スポンサー企業などにも全く頼らずに、これまで長きに渡って、皆様に愛され行われて来たのも奇跡ではないかと思っております。「勝手に」という言葉の持つ真の自由さ、ロックスピリッツ、自主性、隠された協調性みたいなものに引っ張られていたかなあと。
来ていただいた方にはわかるかと思いますが、バンバンバザールのメンバー2人を中心として、飲食ブースの皆様、そして事務局員のサポートもありながら、お客様さえもボランティアスタッフのように動き回り、出演者への交渉、WEB制作、経理、チケット印刷発送、運搬、設営、撤収まで自分たちで作り上げると言うスタイルでやって来ました。そこが混じりっけのないインディペンデントなアクションの表現そのものになっていて、マナーを守りつつ、皆様好き放題「勝手に」楽しむイベントの根幹にあったと思います。主催者、出演者、参加者、お客様のようなくくりを超えて、うつけ者、お囃子、旅の者、町の人、理解者のようなヘンテコな関係であったのではないかと。中でも遊びの達人の理解者の皆様におかれましては、少々ハードルの高い宿泊ドミトリースタイル、そして高額な入場料で持って、スポンサーになっていただく、今となっては当たり前になりつつあるシェア精神、ファンディングシステムで参加者自ら出資して楽しむような先駆けのイベントであったと思います。
その一方で、昨今の音楽産業周辺にある変化とともにおそらく当初に感じていただいてたインパクトも時代とともに当たり前ですが薄まっていき、町フェスや身近で音楽を楽しめるイベントも数多くなって、この特異なイベントでさえ単なる気軽ではない敷居の高いフェスというくくりになってしまったのではないかと思います。そして主催の私達も含め、参加者全体がゆっくり寝たい年頃にもなって来たのでは?
我々バンバンバザールも若干のハンデは持ち前のポジティブ思考で乗り切って来ましたが、お客様の高まる期待と、思ってる以上にのしかかる大きな予算編成に、17年も過ぎております故、自らが動いてクリアする体力、半年以上の企画に要する準備期間、思考が追いつかなくなって、主催が「勝手に」楽しむ余裕が全くなくなって参りました。命も記録もイベントも限りがある。ここが正直なところだと思います。音楽作りにも影響が出て来たような感じでもあります。
わたくしが引き受けるという大金持ちでも現れれば、続けること自体は可能でしょうが、お客様、バンドマン、皆で協力しあって作り上げる、あの雰囲気はキープできるとは思いません。また折角積み上げて来た、子供達も参加できるような健全さ、あのクローズドで体感できる音楽クオリティーを下げるというのは到底受け入れることはできず、今回の決断に至りました。
「勝手にウッドストック」は凄かった。自画自賛しますがこれは伝説でしょう!時代の狭間で小さいけれど音楽カルチャーの大事な架け橋になっていたと思います。
素晴らしいライブの数々、美味しかったカレーや屋台の食事、眠らずに迎えた朝、帰り際に皆でやったゴミ拾い、じゃんけん大会、イカダでの搬出、何よりみの石滝キャンプ場で感じた初秋の空気と一番大事な「出会い」。それぞれみんなのポケットに「未来への種」として突っ込んで、来たるべく場所に撒く、そんな新しい旅や暮らしにしていきましょう。
これまでの多くのご支援、ご参加、ご出演、本当にありがとうございました。
勝手にウッドストック事務局
バンバンバザール 福島康之(文責)、黒川修
南一夫、柘植洋子、大橋さつき、柳楽淳
追伸:
最終回とはなりますが、ちなみに詰めれば、あと50名様ほどはお申し込みいただけますので、また来年行こうと思っているうっかりしてるあなたのお申し込みをお待ちしています。